「旧借地権付きの物件、安いし立地も良さそう…でも本当に買って大丈夫?」と迷っていませんか?実は、旧借地権には思わぬ落とし穴が潜んでいて、あとから後悔する人も少なくありません。建て替えの制限や地代の値上げ、地主との関係など、見えにくいリスクがあるのです。
本記事では、元不動産事務で現・情報発信者のナミが、旧借地権の注意点から意外なメリットまでをやさしく解説。失敗しない判断のヒントが見つかりますよ。
旧借地権はなぜ買ってはいけないのか?
旧法借地権の主なデメリットとは
旧法借地権には、現行制度にはない独特の弱点があります。法律上の保護が強い一方で、現実的には不便や不安定さを感じることも少なくありません。
まずひとつ目は、「更新を拒否できない仕組み」による地主との関係性のこじれです。旧法借地権では、借地人が望めばほぼ自動的に契約が更新されるため、地主側が土地を自由に使いたくても、なかなか返してもらえない状況が続いてしまうんですね。この仕組みが、売買時や名義変更のときにトラブルの火種になることもあります。
ふたつ目は、建て替え時のハードルが高いことです。建物が老朽化しても、勝手に解体して新築することはできず、地主の承諾が必要なんです。しかも、建て替え承諾料という費用も発生する場合があるので、思った以上に負担が大きくなる可能性も。
また、地代が地域の実勢価格より高いこともあります。旧法借地権の契約内容は古いまま更新されているケースも多く、地代が一方的に値上げされることも。支払いの義務はあるのに、金額の交渉はしにくい…という悩みを抱える人もいます。
こうした事情を知らずに契約してしまうと、「なんだか自由が利かないな…」と感じてしまうかもしれません。旧法の仕組みが続いているだけに、現代の暮らし方に合わないことも多いんですね。
旧借地権は現在どうなっているのか
旧借地権、正式には「旧法借地権」と呼ばれる権利は、今もなお多くの物件で存在しています。ただし、1992年に「借地借家法」ができて以降は、新規での契約は基本的にできなくなっています。つまり、現在残っている旧借地権はすべて“昔からの契約が続いているもの”なんですね。
この制度があったころの借地契約は、期間が満了しても借主が更新を希望すれば基本的に断れない、という特徴がありました。これは借主にとってはありがたい制度だった反面、地主にとっては「土地を返してほしいのに返ってこない」という悩みのもとにもなっています。
現在では、そうした契約が残っている物件は「売却しづらい」「融資が通りにくい」といった問題があるため、買主にとっても慎重に判断すべき対象です。不動産会社でも、「借地権付き」と書かれている物件は、特に説明に時間をかけるケースが多いです。
ちなみに我が家も、親戚の家がこの旧借地権の土地に建っていたんですが、いざ売ろうとしたときに手続きや交渉が難航してしまって…ほんと、もっと早く調べておけばよかったと感じました。
今でも有効な権利ではありますが、時代の変化とともに扱いがどんどん難しくなってきているのが現実です。
旧借地権の典型的なトラブル事例を紹介
旧借地権をめぐるトラブルで多いのが、地主との意思疎通のズレです。お互いに「こうなるはず」と思い込んで話が食い違ってしまい、解決までに時間がかかることがあります。
たとえば、建て替えの際に「当然できると思ってたのに、地主さんからストップがかかってしまった」というケース。これは、旧借地権では建て替えにも地主の承諾が必要だからです。しかも、建て替え承諾料という形で費用も請求される場合があるので、予想外の出費に戸惑ってしまう方も少なくありません。
もう一つよくあるのが、「名義変更が思うように進まない」という問題です。親から相続した土地建物でも、借地権の名義変更には地主の承諾が必要ですし、断られてしまうこともあるんです。特に、関係が疎遠だったり、地主が代替わりして連絡がとりづらくなっていたりすると、スムーズに進まないことも。
私の知り合いの話なんですが、相続で受け継いだ家が借地権付きで、地代の支払いをめぐって揉めてしまい、結局土地を手放すことになったそうです…。長年の信頼関係がないと、話し合いすら難しいこともあるんですよね。
このように、制度そのものの古さに加えて、現実的な人間関係や費用面での課題がトラブルの引き金になるケースが多いです。事前に調べて備えることが、本当に大切だと感じます。
旧借地権の購入で後悔する典型例
旧借地権で後悔したよくある理由
旧借地権付きの物件を購入したあとに「失敗したかも…」と感じる方は、思っていた以上に多いんです。よくある後悔の声をいくつかご紹介しますね。
まず多いのが、「自由に使えないとは知らなかった」というケースです。借地権付きの土地では、建て替えや大きなリフォームをするときに地主の承諾が必要になるんですね。「自分の家なのに好きにできない」ことに、住み始めてから気づいてモヤモヤしてしまうんです。
次に、「支払いの負担が想像以上だった」という声もよく聞きます。たとえば地代。契約時は安く感じても、後から値上げを打診されてトラブルになることがあります。しかも、固定資産税は地主が払ってくれていても、借地人が実質的に負担しているような状況もあります。
さらに、「資産価値が下がりやすい」と感じる方も少なくありません。借地権付き物件は、やはり需要が限られるため、売却時に価格が伸びにくいんです。ご近所に住んでいる方が「ウチ、売れないのよね…」とぽつりと言っていたのが印象的でした。
こういった後悔は、契約前のリサーチ不足や「まぁ大丈夫だろう」と思ってしまった油断からくることも多いです。生活に密着することだからこそ、事前にじっくり考える時間って本当に大切なんですよね。
旧借地権が売却しづらい本当の理由
旧借地権付きの物件は、「いざ売ろうと思ったときに買い手がつかない」という事態になりがちです。これにはいくつか明確な理由があります。
ひとつは、ローン審査の壁です。旧借地権は更新が前提とはいえ、土地が自分の所有にならないため、金融機関によってはローンを出しづらいと判断されることがあるんです。現金一括で購入できる人しか対象にならない場合、当然買い手も限られますよね。
また、買い手から見ると、「面倒そう」「難しそう」という印象が強くなりがちです。特に初めて家を買う人にとっては、借地権の制度そのものが難しく感じられるため、敬遠されやすいです。
加えて、地主との関係性や地代の支払いといった「見えにくいコスト」も、購入のハードルを上げるポイントです。不動産会社の担当さんも、「普通の土地付きの戸建てのほうが売りやすい」と言っていたのを聞いたことがあります。
もし旧借地権付きの物件を持っている場合は、早めに出口(=どう売るか)の戦略を立てておくと安心です。リースバックや地主との交渉など、方法はいくつかあるので、焦らず情報を集めて動くのがポイントですよ。
旧借地権は地主との関係が不安定になりやすい
旧借地権を持つうえで大きな課題になるのが、地主との人間関係です。契約内容以上に、この「人としての付き合い」がうまくいくかどうかで暮らしやすさが大きく変わります。
まず、建て替えや名義変更など、人生の節目で地主の承諾が必要になる場面がけっこう多いんです。そのときに地主が協力的とは限りません。たとえば、代替わりして息子さんが地主になったら急に厳しくなった…という話もあります。
また、地代や更新料の交渉で行き違いが起きることも。相場以上の金額を求められたときに「それは困る」と言っても、「じゃあ出て行って」と言われるようなやりとりになることもあるんです。実際、私の周りでも「話し合いがまったく進まなくて困ってる…」と悩んでいる人がいました。
こういった関係性の不安定さは、書類には出てこない“生活のしづらさ”に直結します。特に、これから何十年と住む可能性がある家でこの状況だと、精神的にも負担が大きいですよね。
旧借地権の制度そのものが悪いわけではないのですが、「人付き合いのストレスが増えるリスクがある」という点は、見落とされがちなので注意が必要です。
旧借地権付き物件を選ぶべきでない人とは
借地権付きマンションを避けるべき理由
借地権付きのマンションって、ぱっと見は価格が安くて「これいいかも!」と思いやすいんですよね。私も不動産事務の仕事をしていたころ、「なんでこんなに安いの?」と聞かれることが何度もありました。でも、購入を考えるなら、慎重になるべきポイントがいくつかあるんです。
まず大きなポイントは、「土地が自分のものではない」ということ。マンションの建物部分は区分所有ですが、土地は借りている状態なんですね。このせいで、住宅ローンの審査が通りにくくなったり、将来的に売却するときに不利になったりします。買う時点では気にならなくても、出口(売却)を考えたときに「思ったより需要がない…」なんてことも。
さらに、借地契約の更新や地代の支払いが続くため、毎月の負担や不確定要素がどうしても増えてしまいます。普通のマンションでも管理費や修繕積立金があるのに、そこに加えて地代も発生するんですね。生活コストとしては意外と重たいんです。
あと盲点なのが、マンション全体で地主との関係を維持しないといけない点。一人の住人だけではなく、管理組合全体で意思決定が必要になります。建て替えや契約更新の場面で、スムーズに進まないこともあります。
「価格が安いからお得」と思って買っても、住んでから後悔する声は少なくありません。もちろん状況次第ではメリットもあるのですが、「何が違うのか」をしっかり理解してから選ぶことが大切です。
地代の値上げリスクに備えられない人
借地権のある物件では、地代の支払いが毎月必要になります。そしてその地代、契約当初のままではなく「後から値上げされる可能性」があること、ご存じでしたか?
この点を見落としていると、生活費のバランスが崩れてしまうケースがあります。特に、家計がギリギリでローンを組んでいる方にとっては、地代が数千円でも上がると地味に痛い…。うちも子どもが小さい頃は、ちょっとした出費の増加でも「どうしようか」って夫婦で相談することがよくありました。
地主としても、税金や物価の変動がある中で、ずっと同じ地代で貸し続けるのは難しいと考える方も多いんです。もちろん無制限に上げられるわけではないですが、「値上げの相談があったらどう対応するか?」という視点は持っておいたほうが安心です。
特に、更新時期や建て替え時期など、何かしらのタイミングで「見直し」が入ることがあります。契約書に明記されていないケースも多いので、「想定外」の出費としてのしかかってくるんですね。
安さだけに惹かれて借地権付き物件を選ぶと、こうした費用変動に耐えられず困ってしまう可能性もあります。ある程度の余裕を持った家計管理ができる人でないと、長く安心して住み続けるのは難しいかもしれません。
旧借地権の金銭面リスクと注意点
旧借地権の地代相場とは
旧借地権の地代って、意外と相場がつかみにくいんですよね。私も不動産事務をしていたころ、地代の相談を受けるたびに「このあたりの相場ってどれくらいなんでしょう?」とよく聞かれていました。
実際のところ、地代にはっきりとした基準があるわけではなく、地域や契約時期、地主さんとの交渉によってばらつきがあるのが現状です。だいたいの目安としては、土地の固定資産税評価額の3%〜5%程度が一般的とされています。ただし、これもあくまで目安に過ぎません。
たとえば都市部では月額1〜3万円程度、郊外なら数千円台のこともありますが、過去に取り決めたまま金額が変わっていない場合も多く、「相場より高く払っているのでは…?」と不安に感じる方もいると思います。
しかも地代には、消費税がかかるかどうかの扱いや、支払方法(年払い・月払い)などもまちまちで、契約書によってかなり内容が異なるんです。私も以前、契約書を見比べながら「これは本当にわかりづらいな…」と感じたことがありました。
「安いからお得」と思って借地権付き物件を選んだのに、実は相場以上の地代を払っていた…なんてことにならないように、契約前に専門家に相談したり、周辺の実例を調べたりしておくと安心です。納得して契約できることが、後悔しない第一歩になりますよ。
将来的に費用負担が増す可能性あり
借地権付きの物件を持っていると、見た目の安さに反して「あとからお金がかかってくる」という落とし穴に悩むことがあります。これは、住み始めてから少しずつ実感することが多いんです。
たとえば、地代の値上げ。さきほどお伝えしたように、相場や契約内容により金額が変わることがありますし、固定資産税が上がれば、それに連動して地代の増額を求められるケースもあるんですね。何年かごとに更新料が必要な契約もあるので、忘れたころに大きな出費が発生することも。
それに加えて、「建て替え承諾料」や「譲渡承諾料」といった、一見わかりづらい名目の費用がかかる場面もあります。これらは地主さんの判断によって金額が変わることもあり、話し合いが難航してしまう場合もあるんです。
私の知人が所有していた借地権付きの家では、建物が古くなって建て替えようとしたときに、地主から高額な承諾料を提示されて、工事の予定が何ヶ月も延びてしまったことがありました。
こういった費用が重なると、「思っていたよりお金がかかるな…」と感じてしまうのも無理はありません。借地権付きの物件を検討する際は、初期費用だけでなく10年後、20年後にかかる費用も含めてシミュレーションしておくことがとても大事です。生活を圧迫しないよう、将来の出費にも備えながら選びたいですね。
旧借地権でも例外的に買う価値があるケース
条件付きで得られる旧借地権のメリット
旧借地権付きの物件は「買ってはいけない」と言われがちですが、実は“条件が整えば”メリットもあるんですよ。すべてが悪いとは限らないんです。
たとえば、土地の価格が大きく反映されない分、物件価格が抑えられているケースが多いです。なので、「立地が良い場所に安く住みたい」と考えている人にとっては、選択肢のひとつになりえます。特に都内や都市近郊だと、同じエリアの所有権付き物件と比べて何百万も安いことも。
さらに、地代を支払っていても、固定資産税や都市計画税の支払い義務は地主さんにあるのが基本なので、その分の負担がないという点も見逃せません。もちろん、契約によっては実質的に借主が負担するケースもあるので要確認ですが、税金まわりが軽くなることもあるんです。
それと、借地人にとって更新拒否されにくい仕組みがあるというのも、ある意味メリットです。旧法借地権では、地主が正当な理由を持たない限り、更新を断れない決まりがあります。なので、「一度住んだらずっと住みたい」と思っている人にとっては、長く安心して住み続けられる可能性があります。
ただし、こういったメリットはすべて“条件が合えば”という前提つき。地代の金額や地主との関係性、契約内容によってはむしろ負担になることもあるので、「何が得なのか」を冷静に見極める力が必要です。安さだけで判断しないことが大事ですね。
トラブルの少ない旧借地権の見極め方
旧借地権の物件を検討しているなら、「トラブルの起きにくいものかどうか」を見極めることがすごく大切です。私も以前、親戚が借地権付きの家に住んでいて、「最初にちゃんと確認しておけば…」と後悔していたのを見たことがあります。
まず見るべきは契約内容です。特にチェックしたいのが、地代の金額やその改定方法、更新料、名義変更や建て替えの承諾条件など。これらがあいまいな契約だと、後から「こんなはずじゃなかった…」という事態になりがちなんです。契約書が古くて読みにくいこともありますが、不明点があれば専門家に相談するのが安心です。
次に大事なのが地主さんとの関係性。トラブルの多くは、人間関係から始まることが多いんです。今の地主さんがどんな人なのか、過去に揉めごとはなかったか、不動産会社の担当者に聞いてみるだけでも雰囲気がわかります。「地主さんが協力的で、連絡も取りやすいですよ」と言われるところは、比較的安心できるかもしれません。
さらに、管理がきちんとされているかもポイントです。たとえば共有部分の掃除や修繕がきちんと行われているか、周辺の環境が整っているかを見ることで、物件そのもののトラブル傾向も見えてきます。これはマンションでも戸建てでも同じですね。
「安いからすぐ決めよう!」ではなく、「安心して住めるかどうか」をしっかり見極めて判断することが、トラブルを防ぐ最大のカギになりますよ。
まとめ
旧借地権付き物件は一見お得に見えても、契約内容や将来的な費用、地主との関係など、見えにくいリスクがたくさん潜んでいます。「なんとなく安いから」という理由だけで決めてしまうと、あとから後悔するケースも少なくありません。ただ、すべての旧借地権が悪いわけではなく、条件がそろえば暮らしやすく活用できる可能性もあります。だからこそ大切なのは、「自分の暮らしに本当に合っているのか?」を丁寧に見極めること。不安な点は専門家に相談しながら、後悔しない選択をしていきたいですね。