◆ はじめに|空き家に入った瞬間の「もわっ」とした臭いの正体
久しぶりに空き家の玄関を開けたとき、こんな経験はありませんか?
- 空気が重く、湿ったにおいが漂っている
- カビのような刺激臭を感じる
- 床や壁がしっとりと冷たく感じる
このような「空気のよどみ」と「湿気臭」は、単なる換気不足ではなく、内部構造に起きている“劣化のサイン”です。
そしてこの臭いを放置すると、やがて壁の中の構造材が腐り、リフォームでは済まない深刻な被害に発展することも。
◆ 【原因①】通気不全が湿気と臭いを溜めこむ
空き家になると人の出入りが減り、ドアや窓が締め切られた状態が続きます。
それにより、家全体に“通気死角”が生まれ、湿気が逃げ場を失います。
特にカビ臭が強くなるエリア:
- 押し入れ・収納の奥
- 北側の部屋・廊下
- 風呂・洗面所などの水回り
- 天井裏や床下など目に見えない構造部分
▶ 一度湿気がこもると、結露 → カビ → 素材劣化という流れが自然発生します。
◆ 【原因②】床下から上がる“見えない湿気”
空き家では、床下の換気がほぼ止まった状態になります。
このとき床下に起きるのが、「地面からの湿気上昇」です。
- 床下の通気口が機能していない
- 防湿シートがない or 劣化している
- 雨水の流入で地面が常時湿っている
これにより、床板の裏・断熱材・根太・大引きといった構造材に湿気が吸収され、ゆっくりとカビが繁殖します。
▶ 臭いは“床から上がってきている”ケースが非常に多く、換気しても取れません。
◆ 【原因③】封水切れからの“下水臭逆流”
1ヶ月以上使用していない水回りでは、排水口にある“水のフタ(封水)”が蒸発してしまい、下水の臭いが逆流します。
特に影響が出やすい箇所:
- 洗面台の排水口
- 洗濯機パン
- 浴室の床排水
- 台所のシンク下
この臭いが室内に漂い、通気不足と混ざると「複合的な悪臭」となります。
▶ この臭いも“壁や床に染みこむ”ため、時間が経つほど悪化し、内装の張替えが必要になることも。
◆ 【進行したときの実害】── 壁の中が腐るという現象
カビ臭の原因を「空気の問題」だと軽視していると、見えない部分に深刻なダメージが発生します。
- 壁体内に湿気がこもる → 断熱材がカビて崩壊
- 石膏ボード・合板がカビを吸って軟化・変色
- 柱や土台が腐朽菌で劣化し、構造強度が落ちる
- 最悪の場合、外壁まで膨らみや剥離が起きる
▶ カビ臭は、“壁の中で何かが進んでいる”サインです。
その正体に気づかず放置すれば、「数百万円規模の改修」が必要になるケースもあります。
◆ いますぐできる!空き家の湿気・カビ臭対策5つ
1. 全排水口にコップ1杯の水を注ぐ(封水補充)
→ トイレ、洗面、浴室、台所などすべてに。月1回が理想。
2. 押し入れ・収納・クローゼットを1箇所ずつ開放する
→ 空気を動かす習慣をつけ、湿気が滞らない構造に。
3. 床下点検口を定期的に開け、湿気の匂いを確認
→ カビ臭や湿った空気があれば、点検・除湿の必要あり。
4. 小型USBファンで北側や玄関の空気を流す
→ 自然換気ができない空間に人工的な通気路を作る。
5. カビ臭を感じたら「構造内部」を疑う
→ 壁紙や床材だけでなく、断熱材・壁裏・配管周辺の確認を。
◆ まとめ|湿気臭は「構造がSOSを出している」合図
空き家のにおいを、「ただの空気の問題」だと片付けてはいけません。
そこには必ず、通気・床下・水回り・素材など、構造的な要因が潜んでいます。
カビや腐食は、音もなくゆっくりと家をむしばみます。
そのはじまりが、あなたが感じた“なんとなく臭う”という直感かもしれません。
小さな変化を見逃さず、構造から整えるケアが空き家管理の第一歩です。
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